2018.12.27 <初心者向け>アニメーション基礎を3時間で学ぶセミナー@九段下
昨年末、若杉遼さんのアニメーションセミナーへ行ってきました。ずいぶん時間が経ってしまいましたが、ザックリとまとめておきます。画用紙に絵つきでこちょこちょまとめてたんですが修正ができない、字が汚い、2ページにしたいがどこで区切っていいのかわからない…「こういうのをまとめられる人がアニメーションもうまいんですよね~」と仰っててぐうの音も出ません…
デジタルで描ける状況が出来次第絵を入れてまとめます。
ひとことで言うと、
「アニメーションは(お客さんとの)コミュニケーション言語である」
●正解がない
シチュエーションによってふさわしいアニメーションは様々で、〇×はない。
●ストーリーを伝える手段である(アニメの原則にもある誇張!)
基礎として重さの違うボールをそれぞれ動かす「バウンシングボール」があるが、なにを伝えたいかが重要で(この場合ボールの重量の比較)、実写に忠実では足りない。でも誇張しすぎはダメヨ。
●客観性が大事、わかりやすくする(若杉さん「自分の引き出しを信じてない」)
重いものをもっているアニメーションを作るときは同じくらい重い物を持っている動画で確認する。「腕立ての休憩中って、盲点だったんですけど実は腕を曲げてるんですよ。」リファレンスだいじ。
●大前提としてフィジクス(物理)ができていること
違和感があるとそちらに気を取られて、「面白くない…」「よくわからなかった…」という感想になってしまう。「歩くアニメーションうまいねえ」←うまくない!ちゃんとできているアニメーションはその動作が気にならないはず。
人間は天秤!人間の体は真ん中に軸となる線を引いて左右の面積が同じになるようにするとバランスがとれる!
アニメーションのルール
◎アニメーションのルールはいろいろあって面倒だけど、これを使って新しい事に挑戦できるのがアニメーションのいいところ。現実にないこともアニメーションならできてしまう!アニメーションに限界はない!!
1. スクワッシュアンドストレッチ
「アニメーションイロハの「イ」!」
潰しでは、強い圧力がかかって平たくなった姿も、ぎゅっと押し合って丸まった姿も描写できる。伸ばしの方は常に、同じ形の極度に引き延ばされた状態を表す。ある絵から次の絵に至る動きこそが、アニメーションの核心になったのだ。微笑みは、もはや顔を横切って伸びる単純な線ではない。唇の形や、唇と頬との関係を決めるもの、それが微笑みだ。昔は曲げたパイプやホースのようだった脚も、今では曲げればふくらみ、伸ばせば細長い形に変わるようになった。
『The Illustration of Life 生命を吹き込む魔法』p52より引用
アニメーションの原典といわれるこの本でもアニメーションの法則として最初に記載されている。「どのカットにも使われている」が「どのくらい使うかが大事」で、例えば空気の入った風船と水風船を地面に落とした時、空気入りは重さがほとんどないので、ほぼストレッチしない。対して水風船は地面にぶつかって大きく伸び縮みする。他にもテニスボールがゆっくりとストレッチしたとき、観客は「スローなのかな?」と感じる。つまりスクワッシュアンドストレッチはスピードを表現することができる。
2. アンティック
ドナルドダックが走り去る直前、反対方向に体を捩じるあの動きがアンティックである。これがないと観客がアニメーションにおいていかれてしまう。言い換えれば、アンティックがあればどれだけ素早い動きでも観客はついていける。
観客が次の動きに対して心の準備をし、実際に見る前にそれを予測するようにしむけるのだ。そのためには、主要な動作の前に、次におきることを観客に予測させる明確な動作を加えればよい。
『The Illustration of Life 生命を吹き込む魔法』p55より引用
「逆に、アンティックを入れないことで観客を驚かせることができる」。
かっけー…
3. オーバーラップ、フォロースルー、ドラッグ
「どこに注目しているかだけの違いで、同じ動きを指しています」
キャラクターのリアリティを高める動き。遅れて動く部分があることで、質感や重さを表現することができる。
1. キャラクターの体に、長い耳やしっぽやコートのすそなどの出っぱった部分があれば、そこはほかの部分が止まった後も動きつづける。~
2. 体そのものも一度にうごくわけではなく、伸びたり、止まったり、ねじれたり、曲がったり、縮んだりしながら結合して動く。~
3. ~キャラクターの体にたるんだ部分があれば、そこは骨格より動きが遅くなる。
『The Illustration of Life 生命を吹き込む魔法』p63-64より引用
●ちくわを振ったとき、先が後からついてくる遅れ具合→オーバーラップ
●しっぽの先が後からフワッとついてくる様→フォロースルー
●体の一部分がいちばん最後までのこって動かない(ex,たるんだ皮膚やお腹)→ドラッグ
4. タイミングとスペーシング
タイミング:終わるまでの時間のこと。10カットと20カットではタイミングが違う。
スペーシング: カット間隔の割り振りのこと。たとえば車が走っているシーンで、等間隔のカット割りだと一定の速度に。はじめに詰まっていれば減速(スローイン)、逆におわりに詰まっていれば加速(スローアウト)するアニメーションになる。
同じ見た目でもゆっくり動けば重く、素早く動けば軽く見せることができる。
5. 緊張と緩和
「感情は0か100ではなく、段階がある」
表情は高まるにつれて緊張していく。たとえば怒っている表情は感情が高まるにつれ内側に緊張し、喜びは外側に緊張していく。
感情のバリエーションについては藤原淳雄さんのツイートを思い出してました。
#CGW藤原セミナー 昨日のセミナーで紹介した感情を色で分類した図です。
— Atsuo Fujiwara 藤原 淳雄 (@atsuox) 2018年12月11日
演技や感情表現を勉強したい人は、ぜひ見てください😃
一つ一つの感情を日本語で詳しく説明されているのでとてもわかりやすいです👍https://t.co/RJ5bSCrJGh
6. サブテキスト
サブテキストの意味は「沈む文字」。キャラクターの本心や絵から伝わる情報を操作するのがアニメーターの仕事。
ボケての殿堂入り第一位である。
なぜ強制されているように見えるのか?若杉さんいわく「手の角度だと思います」。つかむように腕を持っているので無理やり引きずっているように感じられる。ボケてはサブテキストが間違っている状態で、なぜこういう受け取り方をされたのか?を考えていくと勉強になる。
とにかくモチベーションを保つことが大事!
●「基礎を頑張り続けてやめてしまうのは本末転倒。アニメーションの表現の幅をひろげながら、つまづいたところで基礎をやればいい。」
●「演技(表情のアニメーション)をやっていけばイイっすよ!」
↑これめっちゃアニメーションやる勇気がでました…!
まとめと感想
他にもコンタクトフレーム(力が加わる直前の動き)、オーバーシュート(力が加わる方向と反対向かう動き)を習いました!が 書ききれない…追記するかもしれません。
それぞれ独立しているように見えて、すべてのルールにのっとってできているのがアニメーションなんだなあ。素晴らしいアニメーションはこのルールに沿っている、ともいえるかもしれない。まとめてみると改めてぜんぶ繋がっていることに気付く。
終始なごやかなムードで、聴講側からの発言もありつつ充実の3時間でした。行ってよかったです。ありがとうございました!若杉さんは近くでお話すると目がキラキラしていてうわーこういう方が活躍されるんだわーと圧倒されました…私も目をキラキラさせるぞ…